「歩き始めが痛い」「あぐらがかけない」——そのつらさに寄り添います
立ち上がる瞬間や歩き出しにズキッと股関節が痛む、靴下を履く動作がつらい、あぐらや脚を組む姿勢が取りにくい——。変形性股関節症と診断された、あるいはその疑いを持って「自分でできるストレッチはないか」と調べている方が、この記事にたどり着いていることと思います。
結論からお伝えすると、ストレッチは正しく行えば日常のつらさをやわらげる助けになりますが、やり方や優先順位を間違えると逆効果になることもあります。この記事では、一般的な情報だけでなく、ネイチャーボディ鍼灸整体院・山崎由浩院長が21年・のべ16万回の施術のなかで「変形性股関節症の方の体をどこから診ているか」という臨床の視点を主軸にお伝えします。
まず知ってほしい——医療機関を優先すべきサイン
ストレッチやセルフケアの前に、次のようなサインがある場合は、我慢せず整形外科など医療機関の受診を優先してください。徒手療法(手で行う施術)は、あくまで整形外科の診断を前提とした補完的な位置づけです。
- じっとしていても強い痛みが続く、夜間や安静時にも痛む
- 股関節がほとんど曲がらない・脚を動かせないほどの可動域制限がある
- 歩行が困難、体重をかけられない
- 痛みが日ごとに強くなっている、急に悪化した
- 発熱を伴う、脚のしびれや力の入りにくさがある
特に痛みが激烈で変形が高度な場合は、手術(オペ)が適応となることもあり、西洋医学的な対応が最優先です。「形が変わってしまったもの」を徒手療法で元に戻すことはできません。ここは正直にお伝えしておきます。
一般的に知られている原因(前振りとして簡潔に)
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、骨や関節の形が変化していくことで痛みや動かしにくさが生じるとされています。加齢や体重、過去のケガ、股関節の形態的な特徴などが背景として挙げられます。
ただ、ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。レントゲンやMRIで変形の程度と、実際に感じている痛みの強さは、必ずしも一致しないということです。軽度の変形でも強く痛む方もいれば、変形が進んでいても痛みが少ない方もいます。ここに、山崎院長が注目している「機能的な問題」というテーマが関わってきます。
【山崎院長が臨床で診るポイント】痛む股関節だけを診ない
ここがこの記事の核心です。山崎院長は、変形性股関節症の方の体を診るとき、「痛い場所そのもの」だけを見ることはほとんどありません。なぜなら、股関節の痛みには「変形という構造の問題」と「体の使い方・バランスという機能的な問題」の2つが混在していて、後者は検査で異常が出にくいにもかかわらず、痛みに大きく関わっていることがあると捉えているからです。
まず「軽度か、オペ段階か」を切り分ける
山崎院長がまず大切にしているのは、切り分けです。痛みが激烈で変形が高度なら、迷わず整形外科・西洋医学が最優先。一方で、オペの段階ではない軽度の方の場合、痛みの原因は変形そのものよりも、機能的な問題にある可能性が高いと考えています。つまり「変形しているから必ず痛い」のではなく、「体の使い方の崩れが股関節に負担を集中させている」ケースがあるという視点です。この軽度の方こそ、徒手療法が意味を持つ領域だと位置づけています。
基本は腰椎・骨盤から診る——股関節は「代償させられている」ことがある
山崎院長が股関節痛でまず確認するのは、実は股関節ではなく腰椎と骨盤です。ここが主要な見立てになります。たとえば腰椎の反り(前弯)が強すぎると、骨盤の向きが変わり、その結果として股関節が内側や外側にねじれ、片側に負担が集中しやすくなる——という連鎖を診ています。
この考え方の背景には、「痛い場所は、離れた場所を代償(かばう)している結果として痛んでいることが多い」という臨床上の着眼点があります。股関節が痛いからといって股関節だけを緩めても、負担を生んでいる大元の腰椎・骨盤のバランスが崩れたままなら、また同じところに負担が戻ってしまう。だからこそ、痛む股関節を代償させている離れた部位を診ることを大切にしています。
過去の捻挫・ケガ歴があるなら足首まで診る
もう一つ、山崎院長が問診で必ず確認するのが過去の捻挫やケガの歴史です。足関節(足首)が股関節の負担に関わってくるのは、こうしたケガ歴のある方に多い傾向があると捉えています。昔の捻挫で足首が不安定なまま放置されると、その上に乗る膝・股関節・骨盤の全体が、無意識にバランスを取り直そうとして負担のかかり方が変わることがあるためです。土台である足元から股関節までを一つのつながりとして診る、という視点です。
膜(ファシア)でつながる体——胸郭・呼吸・内臓の影響も
山崎院長は、体は筋肉や骨だけでなく膜(ファシア)で全身がつながっていると捉えています。そのため、股関節から遠く離れた背中の張りや胸郭の硬さ、呼吸の浅さが、姿勢や骨盤の傾きを通して股関節の動きに影響しているように見えるケースもあると考えています。
特に40歳以降になると、背骨まわりの硬さだけでなく、内臓の疲れや冷え、栄養状態、自律神経の状態といった「検査では捉えにくい機能的な不調」が、体全体のこわばりや回復力の背景にあることがある、というのが臨床での実感です。呼吸が浅く胸郭が硬い方は、体幹が固まりやすく、その分だけ股関節周りに動きの負担が集中しやすい——こうしたつながりを丁寧に確認していきます。
「その場で可動域が変わる」を体感してもらう
山崎院長が施術で大切にしているのは、その場で可動域や動きやすさの変化を体感してもらうことです。腰椎・骨盤のバランスや、代償している部位にアプローチしたあとで「あぐらが少し楽になった」「歩き出しの引っかかりが減った」といった変化をその場で確認する。これは、痛みの原因が変形という戻せない構造ではなく、まだ動かせる機能的な部分にあったことを示す一つの手がかりになります。年齢を重ねると体の傾向は固まりやすいため、崩れを早めに整えることも意識しています。
自宅でできる安全なセルフケア(ストレッチ)
ここからは、軽度の方が自宅で無理なくできるセルフケアを紹介します。痛みが強い時期や、上で挙げた危険サインがある場合は行わず、医療機関を優先してください。「伸びて気持ちいい」範囲までにとどめ、痛みを我慢して押し込まないことが大原則です。
1. 股関節周りをやさしく緩める(お尻・内もも)
- 仰向けに寝て、両膝を立てます。
- 片方の足首を反対の膝の上に「4の字」に乗せます。
- 下の脚の太ももを両手で抱え、ゆっくり手前に引き寄せます。お尻の外側が伸びるのを感じたら20〜30秒キープ。
- 左右2〜3回ずつ。反動はつけません。
2. 骨盤・腰椎の動きを取り戻す(骨盤ロッキング)
山崎院長が重視する腰椎・骨盤にアプローチする動きです。
- 仰向けで両膝を立てます。
- 息を吐きながら腰を軽く床に押しつけるように骨盤を後ろに傾け、吸いながらゆるめる。
- ゆっくり10回ほど。腰が痛む場合は動きを小さくします。
3. 呼吸で胸郭・体幹をゆるめる
膜のつながりを意識した、体全体をこわばらせないためのケアです。
- 楽な姿勢で座るか仰向けになります。
- 鼻から4秒かけて肋骨全体(前・横・背中)を広げるように吸い、口から6秒かけて長く吐きます。
- 5回ほど繰り返し、肩や背中の力が抜ける感覚を確認します。
やり過ぎ注意のポイント
- ストレッチ後に痛みやだるさが翌日まで強く残る場合は、量が多すぎるサインです。
- 「反動をつける」「痛い方向へ無理に伸ばす」は逆効果になりやすいので避けます。
- 入浴後など体が温まったタイミングがおすすめです。
整体・鍼灸で対応できる範囲と、医療に委ねること
正直にお伝えします。徒手療法にはできることと、できないことがあります。
| 徒手療法で対応を目指せる領域 | 医療機関に委ねる領域 |
|---|---|
| 軽度で、痛みの原因が機能的問題にあると考えられる場合 | 痛みが激烈・変形が高度でオペ適応の場合 |
| 腰椎・骨盤のバランス、代償している部位への機能的アプローチ | 変形そのもの(形が変わった構造)の修復 |
| 股関節周りや体幹の動きやすさ、日常動作の負担軽減のサポート | 診断・画像検査・投薬・手術の判断 |
徒手療法の検査で、骨盤の歪みや股関節のねじれ、足首の不安定さといった「痛みの真の原因になっている機能的な問題」を特定し、身体全体のバランスを整える視点でアプローチする——これが軽度の方に対する徒手療法の出番です。「変形が戻る」「変形性股関節症が治る」といったことをお約束するものではありません。整形外科の診断を受けたうえで、機能的な部分の改善を一緒に目指していく、という位置づけです。
まとめ——ストレッチは「代償している体全体」を意識して
変形性股関節症のセルフケアは、痛む股関節だけを緩めるより、山崎院長が診ているように「腰椎・骨盤、そして体全体のバランス」を意識することで、日常のつらさがやわらぐ助けになることがあります。まずは危険サインがないかを確認し、痛みが強ければ医療機関を優先すること。そのうえで、無理のない範囲のセルフケアを続けていきましょう。
「自分の股関節痛が、変形そのものによるものなのか、それとも機能的な問題によるものなのか」——ここを見極めたい方は、一度徒手療法の検査を受けてみるのも一つの方法です。ネイチャーボディ鍼灸整体院では、山崎由浩院長(国家資格保持・施術21年・のべ16万回、フランスの徒手療法専門学校で国際基準を学んでいます)が、その場で可動域の変化を体感していただきながら、あなたの体がどこを代償しているかを丁寧に確認します。電話は不要で、LINEから初回のご予約・ご相談を承っています。つらさを我慢せず、まずはお気軽にご連絡ください。
よくある質問
Q. 変形性股関節症のストレッチは、毎日やってもいいですか?
基本的には、痛みが出ない範囲であれば毎日行っても問題ありません。ただし翌日までだるさや痛みが残る場合は量が多すぎるサインなので、回数や強度を減らしてください。「気持ちいい」範囲を続けることが長続きのコツで、量より継続を優先しましょう。
Q. ストレッチと整体、どちらを優先すべきですか?
まずは整形外科の診断でご自身の状態(軽度かオペ段階か)を把握することが先です。そのうえで、セルフストレッチは日々の維持に、整体などの徒手療法は「痛みの真の原因になっている機能的な問題(骨盤の歪みや股関節のねじれなど)」を検査で特定し整える役割に、と使い分けるのが現実的です。両者は競合ではなく補い合う関係です。
Q. 通院はどのくらいのペースが目安ですか?
状態や生活習慣によって個人差が大きいため一律には言えませんが、崩れを早めに整える観点から、はじめは間隔を詰めて体の反応を確認し、動きやすさが安定してきたら間隔を空けていく、という進め方が一般的です。具体的なペースは検査結果をもとにご提案します。
Q. 40代・50代と70代では、注意点は変わりますか?
変わることがあります。年齢を重ねると体の傾向が固まりやすく、また内臓の疲れや冷え、自律神経の状態など「検査で捉えにくい機能的な不調」が回復力の背景に関わることがあると捉えています。年代が上がるほど、強い刺激より体の傾向に合ったやさしいアプローチが合う方が増える傾向があります。
Q. 痛みが今はないのですが、再発予防に何ができますか?
痛みのない時期こそ、腰椎・骨盤の動きや呼吸で胸郭をゆるめるケアを習慣にしておくのがおすすめです。股関節は離れた部位を代償して負担が集中することがあるため、体全体のバランスが崩れる前に整えておく意識が予防につながります。過去に足首の捻挫歴がある方は、足元の安定も見直しておくとよいでしょう。
Q. ストレッチをすると逆に痛くなることがあります。なぜですか?
痛い方向へ無理に伸ばしていたり、反動をつけていたり、そもそも負担を生んでいる大元(腰椎・骨盤のバランスや足首の不安定さ)が整っていない状態で股関節だけを伸ばしていると、かえって負担が戻ってしまうことがあります。痛みが出る場合はいったん中止し、機能的な原因の見極めを受けることをおすすめします。
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