「四十肩と五十肩って何が違うの?」その疑問にお答えします
ある日突然、肩が上がらなくなった。服を着るとき、髪を結ぶとき、後ろのポケットに手を回すとき——今まで無意識にできていた動作で、鋭い痛みが走る。夜も痛みで目が覚めてしまう。そんな状態のなかで「これは四十肩なのか、それとも五十肩なのか」と検索された方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、四十肩と五十肩は医学的には同じ状態を指します。正式には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれ、40代で発症すれば四十肩、50代で発症すれば五十肩と、発症年齢によって呼び分けているだけの俗称です。つまり名前の違いに大きな意味はありません。
大切なのは名称ではなく、「あなたの肩で今、何が起きているのか」を正しく切り分けることです。当院(ネイチャーボディ鍼灸整体院)を運営する山崎由浩は、施術歴21年・のべ16万回の臨床のなかで、整形外科で「四十肩・五十肩ですね」と言われリハビリを続けても改善しない方を数多く診てきました。この記事では、一般的な知識に加え、山崎院長が臨床で実際にどこを診ているのかという一次情報を主軸に、見分け方から安全なセルフケアまでを整理してお伝えします。
まず確認してほしい——医療機関を受診すべきサイン
肩の痛みのなかには、四十肩・五十肩とは異なる病態が隠れていることがあります。次のようなサインがある場合は、自己判断や整体でのケアの前に、まず整形外科を受診してください。
- 転倒した、手をついた、肩から落ちた、強くぶつけたなど明確なケガのあとに動かなくなった
- 腕に力が入らない、物を持ち上げられない(腱板断裂の可能性)
- 安静にしていても激しく痛む、痛みが日に日に強くなる
- 肩だけでなく、発熱・しびれ・首や胸の症状を伴う
- 3ヶ月以上まったく変化がない、あるいは悪化している
山崎院長も臨床メモのなかで、「肩周りの腱(腱板)が損傷・断裂しているケースは手術が必要になることがあり、これは整形外科の超音波(エコー)検査で判明する」と繰り返し指摘しています。徒手療法で対応できるのは、この病理的な問題が除外されたあとの領域です。まずは検査で「つなぐ手術が必要な状態ではない」ことを確認する。この順番がとても重要です。
一般的に知られている四十肩・五十肩の原因
肩関節周囲炎は、肩関節を包む組織(関節包)や腱、滑液包などに炎症や癒着が起こり、痛みと可動域制限が生じる状態と考えられています。一般的には、加齢に伴う組織の変化や、使いすぎ・使わなさすぎによる負担の偏りが背景にあると言われています。
経過はおおまかに、痛みが強い「炎症期(急性期)」、動きが固まる「拘縮期」、少しずつ動く範囲が戻る「回復期」の3段階をたどるとされます。ただし、これはあくまで教科書的な整理であり、実際の一人ひとりの肩がなぜ動かなくなっているのかは、もっと個別に診る必要があるというのが山崎院長の立場です。ここからが本題です。
【山崎院長が臨床で診るポイント】痛む肩だけを診ても改善しない理由
ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。整形外科で四十肩・五十肩と診断され、リハビリを続けてもなかなか改善しない——そうした方が「他に何か方法はないだろうか」と当院を訪れるケースは非常に多くあります。山崎院長は、その背景にいくつかの見落とされやすい視点があると捉えています。
肩は「多関節」——一つの関節だけの問題ではない
私たちが「肩」と呼んでいる動きは、実は一つの関節で作られているわけではありません。脊柱(背骨)・胸郭(肋骨)・肩甲骨・鎖骨・肩甲上腕関節(いわゆる肩の関節)が連動して初めて、腕はスムーズに上がります。山崎院長は「肩は多関節」と表現し、これらを一つずつ徒手で機能障害の評価をしていきます。
興味深いのは、「ほとんどの方が、この一つずつの評価を受けていない」という現場感覚です。X線検査では大きな異常が出ず、リハビリも肩そのものに向けたメニューが中心になりがちです。しかし山崎院長の視点では、レントゲンやMRIで異常が写らない「機能的な不調」——検査では捉えにくい動きの制限こそ、徒手療法が介入できる余地があると考えています。
「痛い場所」ではなく「代償させている場所」を診る
山崎院長が一貫して大切にしているのは、「痛い場所だけでなく、それを代償させている離れた部位を診る」という考え方です。たとえば背中(胸椎)や肋骨の動きが硬くなっていると、その分を肩関節が無理に動いて補おうとします。この「代償」が積み重なった結果として、肩に負担が集中し、痛みや可動域制限として表面化しているように見えるケースがあるのです。
背中の張りや硬さが不調の背景にあることは多く、山崎院長はこうした崩れを早めに整えることを重視しています。呼吸に伴う肋骨の動き、胸郭の柔軟性を含めて全体を診ることで、肩そのものを強く押すことなく可動域が変わっていくことがあります。
見落とされやすい2つのケース
山崎院長が臨床で特に注意して切り分けているのが、次の2つのケースです。
- ①外傷のあとに起きているケース:転倒・手をつく・肩から落ちる・打撲などのあとは、各関節が動かなくなっていることがあります。この場合は動きを取り戻す矯正を丁寧に加えていきます。ただし前提として、骨折・脱臼・腱板損傷がないことを整形外科で確認しておくことが不可欠です。
- ②内臓を包む膜(ファシア)のつながりが背景にあるケース:体は膜(ファシア)で全身がつながっており、離れた部位が関係しているように見えることがあります。山崎院長は補完医療の視点として、内臓の疲れや姿勢の影響が肩の状態に関わっている可能性にも目を向けています。飲酒や脂・甘いものの摂り過ぎ、食べ過ぎ、冷えや消化器の疲れといった生活背景が体調に関わることがあり、気になる内臓症状が続く場合は医療機関の受診を優先していただくようお伝えしています。
施術のたびに可動域が広がることを、その場で体感してもらう
山崎院長が施術で何より重視しているのが、「施術ごとに可動域が広がっていくこと」です。徒手検査で見つけた機能障害に対してアプローチし、その場で「さっきより腕が上がる」「痛みなく動かせる範囲が増えた」という変化を、患者さん自身に体感していただくことを大切にしています。変化がその場で分かることは、施術の方向性が合っているかを確認する重要な指標でもあります。
自宅でできる安全なセルフケア
セルフケアで最も大切な原則は、「可動域が上がってからでないと、多くのストレッチは痛くてできない」ということです。炎症が強い急性期に無理に動かすと、かえって痛みを長引かせてしまうことがあります。山崎院長も「まず施術で痛みをとり可動域を広げる→それからセルフケア」という順番を推奨しています。以下は、比較的負担の少ない範囲で行えるものです。痛みが強い時期は無理をせず、施術者や医療機関に相談してください。
振り子運動(コッドマン体操)
- テーブルや椅子の背に、痛くない側の手をついて上体を軽く前に倒します
- 痛む側の腕を、力を抜いて下にだらんと垂らします
- 体を軽く揺らし、その反動で腕を前後・左右・円を描くようにゆらゆらと振ります
- 腕の力で「動かす」のではなく、重力で「揺れるに任せる」のがコツです
1回30秒ほどから。痛みが出る手前の範囲で止めてください。
肩甲骨まわりを緩める動き
- 両肩をすくめるようにゆっくり持ち上げ、ストンと落とすを5回
- 肩を大きく後ろにゆっくり回す(前回しも同様に)を5回ずつ
- 呼吸を止めず、息を吐きながら動かすと胸郭も動きやすくなります
やり過ぎ注意のポイント
- 「痛いけど効いている気がする」は要注意。痛みが翌日まで残るなら量が多すぎます
- 反動をつけて無理に上げようとしない
- 回数より「毎日少しずつ・痛くない範囲で」を優先してください
整体・鍼灸で対応できる範囲と、医療に委ねること
正直にお伝えすると、四十肩・五十肩に対して整体や鍼灸ができることには明確な範囲があります。当院の考え方を整理します。
| 状態 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 腱板の損傷・断裂などの病理がある | 整形外科の領域。手術やリハビリが必要な場合があり、まず超音波検査を |
| 検査で大きな異常がない機能的な不調 | 徒手療法が介入できる領域。脊柱・胸郭・肩甲骨・鎖骨・肩関節を総合的に評価・調整 |
| リハビリを続けても改善しない | 徒手検査で見落とされていた機能障害を探し、可動域の回復をサポート |
| 強い夜間痛・進行する痛み | まず医療機関で再評価を。無理な施術は行わない |
山崎院長が繰り返し伝えているのは、「整形外科で四十肩・五十肩と言われ、リハビリで改善しない方こそ、徒手療法という選択肢を検討してほしい」ということです。夜眠れないほどの状態に対しても、可動域を広げていくアプローチの視点を含めて対応します。ただし効果を保証するものではなく、3ヶ月続けても変化がない場合は、早めに医療機関での再評価をお願いしています。
山崎院長は国家資格を持ち、施術歴21年・のべ16万回の臨床経験があります。現在はフランスの徒手療法専門学校で国際基準の徒手療法を学んでおり(在学中)、脊柱・胸郭・肩甲帯を総合的に診る視点を臨床に取り入れています。
まとめ——名前の違いより「どこが動いていないか」を
四十肩と五十肩は、医学的には同じ「肩関節周囲炎」であり、発症年齢による呼び名の違いにすぎません。本当に大切なのは、①まず整形外科で腱板損傷などの病理を除外すること、②病理がなければ機能的な問題として、肩だけでなく脊柱・胸郭・肩甲骨まで含めて総合的に診ることです。
「リハビリを続けているのに変わらない」「痛い場所ばかりケアしてきたけれど良くならない」——そう感じている方は、代償させている離れた部位に目を向けることで、変化のきっかけが見つかることがあります。当院(ネイチャーボディ鍼灸整体院)では、初回に徒手検査で機能障害を一つずつ確認し、その場での可動域の変化を体感していただくことを大切にしています。
ご予約はLINEから24時間受け付けています。電話は不要で、メッセージだけで日時のご相談が可能です。肩の状態やこれまでの経過を書き添えていただければ、当日の施術がよりスムーズになります。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 四十肩・五十肩は、どのくらいの通院ペースで通えばいいですか?
状態によりますが、痛みや可動域制限が強い時期は週1回程度から始め、変化を見ながら間隔を空けていくのが一つの目安です。大切なのは「施術ごとに可動域が広がっているか」を確認しながら進めること。3ヶ月続けても変化がない場合は、施術方針の見直しや医療機関での再評価をおすすめしています。
Q. セルフケアだけで治すことはできませんか?
可動域がある程度戻っている段階なら、セルフケアは回復をサポートする有効な手段です。ただし痛みが強く腕が上がらない時期は、多くのストレッチが痛くてできず、無理をすると逆効果になることがあります。山崎院長は「まず可動域を広げてからセルフケア」という順番を推奨しています。まったく動かない時期は、施術や医療機関での対応を優先してください。
Q. 整形外科のリハビリと整体は、どう使い分ければいいですか?
まず整形外科で超音波検査を受け、腱板損傷などの病理がないかを確認することが前提です。病理があればリハビリや手術が必要になります。一方、検査で大きな異常がないのにリハビリで改善しない場合は、肩以外の脊柱・胸郭・肩甲骨の機能的な問題が見落とされていることがあり、その領域は徒手療法が対応できる範囲です。両者は対立するものではなく、役割が異なると考えてください。
Q. 40代と50代で、注意することに違いはありますか?
名称が分かれているだけで、対応の基本は同じです。ただし年齢を重ねると体の傾向が固まりやすく、姿勢や内臓の疲れといった背景がより関わってくることがあります。年齢だけで一律に決まるものではなく個人差が大きいため、その方の傾向に合わせた組み立てを大切にしています。年代を問わず、強い痛みや進行する症状があればまず医療機関へ。
Q. 一度良くなった四十肩・五十肩は、反対側にも起きますか?
片側が改善したあと、時間を空けて反対側に同様の症状が出る方は少なくありません。予防としては、日頃から胸郭や肩甲骨まわりを固めないこと、痛くない範囲で肩を動かす習慣を持つことが役立ちます。姿勢の偏りや背中の硬さを早めに整えておくことも、負担の集中を防ぐうえで意味があると考えています。
Q. 右肩と左肩で、原因の傾向は違うのですか?
山崎院長は補完医療の一視点として、内臓を包む膜(ファシア)のつながりが肩の状態に関わっている可能性に着目することがあります。ただしこれは断定できるものではなく、肩の症状のすべてが内臓由来というわけではありません。飲酒・食生活・冷えなどの生活背景が体調に関わることはありますが、気になる内臓症状が続く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
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